サクリファイス 近藤史恵著
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陸上競技での「一番」を目指す走りに、記録は十分に出していたが、心理的に限界を感じていた。
そんなとき、自転車競技を見て、一番になれると分かっているのに一番を逃すこともある、チームワークと役割をわきまえた走りを謎に感じ、その新鮮な驚きに取り込まれ、自転車競技に転じた。
チームのトップが一番で上がり、そのために犠牲になる走りをする選手が一方でいる。
そんな自転車競技に見せられたのだ。
自転車競技が盛んなのは、フランスやスペイン。
ツール・ド・フランスもあれば、そう名作・映画『アンダルシアの茄子』もあった。
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自転車競技。事故も避けられないことが多く、生き死にの瀬戸際ということもある。
白石誓(チカ)は、今の実業団チームでアシストの立場でいる。つまり風よけとなり、先に走り、優勝を手にする選手を最後に行かせる立場。
2番手、3番手だった白石誓が、そのアシストという立場ゆえに、所属チームでの競技・試合の勝敗への起伏、またはこのドラマ自体の起伏に絡めとられ、また生かされてしまう重苦しさにも関わってしまう。チーム競技ゆえに、同チーム内での力関係や駆け引きもある(もちろん、エースを活かすことがチーム勝利への近道だ)。
《サクリファイス》…犠牲となるか、ならされるか、それともなられるか。
二転三転する筋立てに「サクリファイス」というテーマをからめて、もう、これはミステリ以上にミステリらしいのでは? と思ったら、著者は元はミステリを書いていた人だったのです。
「サクリファイス」=犠牲を強いる側と、あくまでサポートに徹する側とが、競技のなかで役割としてある競輪というスポーツ自体が、この物語に不可欠の世界だったと感じ入る。
お勧め度☆☆☆☆☆
2008年の一番の小説だったと言えます。(翻訳ものでは『アメリカにいる、きみ』があるが)
真夏に読んだのだが*1、あまりによすぎて、なかなかここに書けなかった。買って手元において再読しましょう。
余談だけど、表紙とタイトルはちょっとインパクトが小さくて、売り上げには貢献できなかったのでは? (だから本屋大賞は2位になってしまったのでしょう)
『サクリファイス』だと、同タイトルの『犠牲 サクリファイス』(柳田邦男著)を思い浮かべてしまうし、タイトルに込めた意味も後者の方が深みがあるように感じる。
- 注17月4日に読了





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