04 February 2009

パリママの24時間 仕事・家族・自分 中島さおり著 

パリママの24時間  仕事・家族・自分パリママの24時間 仕事・家族・自分
中島さおり

集英社 2008-10-23


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『パリの女は産んでいる』の著者による、パリママ15人へのインタビュー。
生の声から、生活スタイルが仕事と育児と合わせて仔細に分かるので、「ああ、本当にたいへんなんだな」ということが赤裸々に分かる。

ただ筆者も言っているように、個人的な知り合いや知人をたどって知り合った人ばかりなので、偏っているだろうということ。例えば著者が入れたかったイスラム系の女性は個人が特定されるような表の場に出られる人はいなかったということ、不満や困惑はあっても仕事も育児もなんとか回している人(インタビューに答える余裕のある人)ということは仕方がないかも。

フランスが日本より「産みやすい」理由は、婚外子でも珍しくないこと、婚姻に関わらず(固定カップルのうち婚姻している人は半数くらいらしい)子どもに対して差別がないこと、シングルママが半数くらい、といった「子ども誕生までのハードルの低さ」があるだろう。
社会全体があまり「女に母性を無条件に求めない」ということも要因だと思う。

専業主婦がマイナーなのは、財産管理権を主婦に任せない(稼ぐ人が管理する)、すべての離婚は裁判制(協議離婚はないので離婚がやっかい)など、必ずしも女性の権利が大きいからではなく、他のルートからたまたまこうなったのだけれど、日本のように「就職して結婚して子育て専任要員を確保して」といった面倒な前置きがなくても、出産条件が解放されているのはいいかも。結婚(して離婚しない)が条件から外れたらもっと楽に産めるかもという。(日本でもそういう人はいるのに、少数派というネックがある)

あとは「幼年学校」という3歳以上の子どもが、義務ではないがほとんどの子どもが通う場所があること、途中からでも仕事に就くことができる、女性が働いているのが当然、など。
それから、「子育ては、誰かが密着してずっと面倒をみなければ」という母子一体型の子育て観もない。相性のいいベビーシッターの確保は難しいが、できないわけではない。


(そういえば、日本だって戦前は「ねえや」さんが子どもの面倒を見ていたではないか、と考えられないこともない。貧富格差によるベビーシッターの確保が必須なのか? 
それより何より肝心なのは、父親が子どもを育てられるかということだと思うけれど。)

カップルによって、うまくできていて、何でも半分の人もいれば、夫よりたくさん働いて家事を任せる型の夫婦もいれば、休日も趣味で出かける夫に対して「でも頼めばやってくれる」という妻もいるという。

この本を読んで、日本とは違う社会のやり方を見てみる、違う考え方に出会ってみるという息抜きができそう。
私が一番いいなあと思うのが、途中から社会参加しやすいということ。
新卒で就職するだとか、余裕をもって結婚してから出産するとか、なんだか人生の進路の軸が一本しか想定されていないような社会制度が不自由だなぁとかねがね思ってきたので、子どもがいてから結婚してもいいし、一本道の経歴でなくてもいい仕事にめぐり合えるということの方が希望になるのだと思う。

お勧め度☆☆

ただ、もっとも出生率さえ上げればいいという風潮は間違いだと思うけれど。
産みたい人が産みにくい社会(または条件さえ整えばという状態にならない)はよろしくないし、助けたほうがいいけれど、若い女に向かっていきなり「産めよ」という世間サンの露骨さはなんとかしていただきたい。(未婚の人に対して結婚して産めよ、も同じ)
将来の納税者が減って困るというのは、昔「産めよ増やせよ」をした政策ミスのつけじゃないの? ベビーブームは平和の産物というより戦争中の抑圧からの解放じゃないの?

それに、子どもは「産む」のも大変かもしれないが、「育てて」こそなんだよねえ。
つい生まれてしまって虐待される子は少数かもしれないけれど、そういう子を作らないような方法も考えたほうがいいのでは?



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