28 January 2006

サバス・カフェ  谷地 恵美子著

サバス・カフェ (1)サバス・カフェ (1)
谷地 恵美子

朝日ソノラマ 2005-06


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どことなく寂しげな顔をつい見かけてしまう,群れなくて優等生な主人公。
日本のアメリカンスクールに転校してしばらくたった時期の少年。
楽しげに笑うだとか,屈託無げなところがあまりなくて,他人と必要以上に関わらないそっけなさの取れない,大(ダイ)くん。
……と彼に関わっていくクラスメートや,その家族達の物語。

実は彼は,両親がいないことを隠して通学していたので,トモダチを家に招かざるをえなくなった時,困って偽家族を演じてくれる俳優を頼んでしまっていた……だとか,
それが身近な友人にバレると,今度はお金が無くて大変だろうからと,やたらとおごってくれるようになってしまったが,実はアメリカにいたときに,遊びで作ってみたゲームが大ヒットして,大金持ちだったとか(けれど財産は未成年なので弁護士に管理を任せているという小さなリアルがまたいい)……。

彼の周囲の人たちが,友人として,彼に一歩近づくたびに,「実は……」という人物像なり経歴なりがともに分かり,友人達それぞれも,家族や恋人や兄弟とのそっけなさやあたたかさを交えながら生活している様子が出てきて,読み進めることがとても楽しみな作品です。
文庫本で全4巻。

そっけないのに,惹かれるところもある,自分の周囲にいるそんな人へ,好意を持って近づけそうな,希望の書……といったら大げさでしょうか。私は,おせっかいな友人デリィの‘おっかないお祖母さん’レディ・モートンが好きだな。


お勧め度☆☆☆
また,面白そうな漫画家さん,見ぃつけた! という感じです。
この作者のマンガを読むのは初めてだったのですが,細い線とにぎやかな登場人物たちが,吉村明美のようです。でもそこまで人間同士が熱くなってないところがいいかな。奥底にはあつい思いもあるけれど,人物たちがとっくみあって関わるというより,よそよそしいなかに,一枚下で思いはあり,けれどそれがうまく伝わらないようなところが,この作者の描くもののよさではないかと。もちろん,吉村明美もいいと思っていたけれど,(『麒麟館グラフィティ』も何度も読んでいた)今はこちらに軍配を挙げたい気分なのである。

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