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19 November 2008

ひゃくはち 早見和真著

ひゃくはちひゃくはち
早見 和真

集英社 2008-06-26


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スポーツ物+学園青春モノといったところか。
甲子園を目指す熱い高校生たちの、なんだか生々しいドラマ。

「甲子園」「男子高校生」というものをモチーフにした、けれど「清々しい」とか「夢・青春」という先行するもののイメージで括ってしまうにはあまりに人物を書き込みすぎている、という良さがあるのだ。

『ドカベン』が、少年たちの生活の背景まで社会層の中でどういう家庭があるかということを含めて描かれているように、『ひゃくはち』では、とある神奈川の私立高校に特待生ではなく一般で入った野球部の二人の少年を軸に、甲子園に行けそうで行けなかった3年生の後を引き継いだところからストーリーが始まる。

何十人もいる野球部で、ベンチ入りできるかどうかのギリギリにいる二人。そのあたりが主役というところからして、天才的なピッチャーやバッター(やキャッチャーでもいいけれど)が異色の組み合わせや経緯で、勝利をつかむために努力し、勝ち上がっていくといった定番を外していて、甲子園モノを読むとは別種の面白さがあるし、より身近にさえ感じる。『ドカベン』のころには、全国の土地土地の、または階層の生活を背負っている少年たちがリアルだったのだろう。けれど、コンテンポラリー・高校野球なら、こうだよね? と思うのはこちら。しかし、このストーリーも、甲子園は過去の思い出として、時間としては社会人になった現在から書かれているのだけれど。

さわやかな少年たちの夏にもしてほしくないし、読後感のいい清涼感にもならない。
でも、青春の「ほろ苦さ」というか「甘辛さ」というか、どうしても許せない潔癖さも、貫きたいことを貫いたことによるその後の支えになるような自分の土台作りという観点でも、十分にすばらしい青春ものとなっているのだ。

お勧め度☆☆☆
高校野球って、ベンチ入りメンバーはこうなっているんだ・・・と、妙な感心をしてしまいました。映画化されるらしいけれど、「パッチギ」風にしてほしいなあ。「ウォーターボーイズ」というよりも。

04 October 2008

トワイライト 1(愛した人はヴァンパイア)ステファニー・メイヤー著 小原亜美訳

愛した人はヴァンパイア (トワイライト 1)愛した人はヴァンパイア (トワイライト 1)
ステファニー・メイヤー著 小原亜美訳

ヴィレッジブックス 2005-08


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血は哀しみの味 (トワイライト 2)血は哀しみの味 (トワイライト 2)
ステファニー・メイヤー著 小原亜美訳

ヴィレッジブックス 2005-08
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日々の与太で紹介されていた、「中学生が原書で愛読している本」の和訳(^o^;)
私は英語は大学入試以降ほとんど触ってないに等しいので、もちろん日本語訳におすがり。
原書で読めたほうが面白いのかもしれないけれど。

タイトルどおりの「愛した人はヴァンパイア」な話なのだ。
全9巻。1巻を読み終えた時点で、まだヴァンパイアだと確定していないというまどろっこしい進み具合。ここで諦めずに2巻まで進むと、やっと話が始まる感じ。

フェニックスという南部の、荒野にサボテンばかりの風景に慣れていたベラ。
母親が再婚したことから、自分から父親の元に行くと気を利かせて言い出したが、引っ越した先は霧と雨ばかりの北部の町だった。父はともかく、気候が大の苦手。

アメリカの高校生らしく、自分で車を運転して通学したり、授業が選択だったり、カフェでランチだったり、学校のパーティーに誰を誘うかという話題など、学園物としての楽しさもあるかしら。中学生なら憧れの高校生活の一つになるのかも。

吸血鬼モノとしては、すぐに『ポーの一族』を思い出してしまう。あとは『ガラスの仮面』で亜弓さんが演じた吸血鬼。それ以外にもあちこちで何かしら読んだような気はする。

彼女が新しい学校で出会った友人や男の子たち。その中でも風変わりな4人組がいた。
あまりに容姿が美しいが、人前でなにか食べることもなく、他の人たちからは距離をおいている。

ベラはその中の一人カレンに惹かれていく。最初はとても苦手だったけれど・・・。
カレンの瞳の色が変わることに気づいたり、不思議な関わりで気になる。
カレンの方は、ベラを避けているような、わけもなく嫌われているように感じたり、もどかしい乙女心満載なのだ。

カレンとの仲の進展は? 
ベラの極端な運動オンチはなんで?
ベラだって十分に変わっている女の子なんだけど、カレンがあまりに人並み外れているので(吸血鬼だし)、二人一緒だと案外思いもよらない付き合いになるんじゃないか?
なんて期待もできる。

学園物デビューにも、吸血鬼デビューにもよさそうな小説。
面白いのは2巻から。頑張って読めばはまる。(ハリーポッターみたい、、、)

お勧め度☆☆
読み出すと止まらない。多分、読み進めるほどお勧め☆が増えそう。
中学生と一緒に読んであーのこーの言い合ってみたいなあ。
そして英語は教えてもらわなきゃ(^o^;)

04 October 2008

映画 容疑者Xの献身 (原作 東野圭吾)

やっと受賞した直木賞の作品をTV化した「探偵ガリレオ」シリーズ。
科学トリックを使った読みきり作品集だった原作を、見せ場を作ってカッコイイ主役に仕立て上げ、刑事役を若い女性にする・・・TVにありがちな設定にしたけれど、これが案外面白くて、原作がよかったのに、TVもよくて、更に映画にまでなったのだが、公開初日に観に行ったらこれが思いのほか素晴らしく出来ていた。

原作小説のTV化なのによかった。更にTVの映画化なのによかった。
それぞれ、オリジナルの踏襲をしつつ、更にTVなり映画なりの要素を加えて、更に面白みを増しているというところが、素晴らしい。読後感の「あー面白かった」のように、観た後も「あー面白かった」がちゃんと残っている。そして、原作もいいけれど、こちらにはこちらの良さがあると思える。更に、もう一度原作を読み直してみたいと戻れる。それは、オリジナルが確固としてもつ面白さによってTVも映画も支えられてはいると思う。けれど、それに寄りかからないどころか、更に積み重ねているところが、よいのだ。

最近の映画化ものでは
『20世紀少年』では、原作の押さえるべきところは押さえ、筋も場面も大事なところは外していないし、更に俳優陣もうまいキャスティング、まさにマンガから抜け出てきたような実写化、と楽しみにしていたのに、ただ漫画を映像にちまちま置き換えただけでなんの面白みも増していない編集とカメラ撮りだったという期待はずれ感で味気なさばかり残ったし、
『相棒』では、映画ならではのスケールの大きな場面、人間の沢山出るシーンはあったけれど、TVより予算も人もついただけという気がして、話自体はTVの数々の放映の中では中ごろの出来だったなあ、2時間スペシャルでやれば十分なんでないの? 映画館のスクリーンで上映する必然性は? と思い、結局TVで観ていない人に広めるためのキャンペーンと考えればいいのか、と落ち着いたのだった。

そうこう不満の残る映画日和な中での、ヒットだったので、かなり嬉しい。
これは、映画を先に観ても、原作を先に読んでも、TVでもどこからでも関われるという意味で、存分に東野ワールドを読み解いて欲しいと思う。


容疑者Xの献身容疑者Xの献身
東野 圭吾

文藝春秋 2005-08-25


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なんといっても、盲点を突いたトリックにだまされる。「そこまでするか? 」とは思うが、そこまでしてしまったのだろう。
TVを見ていた人には物理の湯川先生と学友の数学者という視点から観られる登場に興味が涌くと思う。TVではあまり表情の変化もなく、感情の動きがつかめなかった物理学者が、更に人間関係から離れたところで生活しているこの数学者と関わると、感情を担う方の役割になってしまうところ。

私はこの本を読んだときには、実は湯川さんのことは全く覚えていなかった。トリックや数学者と隣人の関係ばかりに気を取られていて、『探偵ガリレオ』も『予知夢』も読んでいたにも関わらず、(あまりに昔に読んだせいもあるかも)思い出せなかった。そして、読んだあとにも、湯川先生が出ていたことを忘れていた・・・(-o-;)

お勧め度☆☆☆☆(原作・TV・映画トリプルの達成度である)

01 October 2008

木立ちの中の日々 マルグリット・デュラス著

木立ちの中の日々木立ちの中の日々
マルグリット・デュラス

白水社 1990-07


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息子のジャックのもとを訪れた老女になった母。
彼女は、貧乏から成金になった女で、自分の亡き後には、大きな工場を息子に任せられたならと思っている。
が、都会で暮らすジャックは、キャバレーで客の相手をしたりダンスをしたりという「名もないあまり疲れない仕事」を始めたばかりの、「勤勉とは言いがたい」男だ。押しかけ同居してきた彼女・マルセルもいるが、彼のほうに愛もなく、間もなく追い出そうとしている。やってきた母親の腕輪も売り払って賭けにすって終わり。
一言で言えばろくでなしな息子。

「子供をもったなんてことは、なんの足しにもなりゃしない。なんの意味もないことさ。まるっきりね。どの程度にそうなのかなんてあんたには想像がつきませんよ。目がくらくらするほどですよ。子供をもつということがそうだというんじゃない・・・・・ 子供をもったっていうことがなのさ。」
マルセルは、そんなことばの重みに耐えかねて台所へ逃げていった。
「なんの足しにもなりゃしない」と母親はひとりぼっちになってつづけた、「あたしがこのままいたって、あの子はあたしを殺すが関の山さ、かわいそうなジャック。そうなってもあたしには、そういうあの子が分かりすぎるくらいよく分かるだろうさ。」


「ぼくは働くことができないんだ。おれは・・・・・・・働きたくない、働きたくないんだ。」
母親は依然として微笑していた。
「ねえ、おまえ。」
 彼女はもう泣いてはいなかった、たしかに。だが涙が、それにもかかわらず彼女の微笑を縫って流れていた。
「それはあたしにもわかるよ」と、彼女はいった、「おまえにことのともいっておきたかったんだよ・・・・・・ それはね、ある意味では、いいかい、あたしはお前が来ないほうがいいと思っているってこと・・・・・・ おまえのことを自慢に思ってるってこと・・・・・・ ええ、そうなんだよ、あたしもおまえを自慢に思っているんだよ・・・・・ こなくてもいいよ。」
「やめてくれ、お母さん。」
 彼女はその小さな両手を組み合わせた。死んじまってくれ、死んじまってくれ、と息子は考えた。
「おまえにはわかるまいよ」、と彼女はいった、「ほかの母親たちってのはね・・・・・ 息子を自慢しているといったって、いざ彼らが母親に会いにくるのを見ると、どうだっていうんだい? 栄養のつきすぎたブルジョワっていうか、子牛っていうか、おまけにばかで、なんにも知ってやしない・・・・・ ほんとだよ、おまえ、あたしはおまえが、いまだにその年で、そんなふうだっていうことを自慢に思っているよ・・・・・ 猫みたいに痩せててね・・・・・ ねえ、おまえ・・・・・(中略)そういうのは、あたしだけにしかわからないちがった誇りなのさ。だから、あたしがつらいのもそのことだけなんだよ、おまえ、それだけなのさ。あたしだけにしかそれがわからないっていうのに、そのあたしが死んでゆく、あたしが死ねばだれも、そんなことを誇りには思わないだろうって考えることだけなんだよ。」
息子はまた、ベッドの上に身を倒した。おれは恐い、自分が恐い、と彼は考えた。


お勧め度☆☆

デュラスファンなら押さえておきたいところ。
老女の母親のおもいのどうしようもなさと、そうあるしかない息子と、哀れが両者を包む。
あまり解説をしたくないのがデュラスの小説で、この訳者のあとがきも読まないほうがいい。

01 October 2008

婚活時代 山田昌弘・白河桃子著

「婚活」時代 (ディスカヴァー携書 21)「婚活」時代 (ディスカヴァー携書 21)
山田 昌弘

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-02-29


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『パラサイト・シングル』『格差社会』など、社会学から読み解く現代の様相の名づけ親としては、今までもお目にかかっていた著者。山田昌弘氏には、そのたびに(本で)お目にかかっては「うまいこと名づけるなあ」と感心していたのだが、またしても「就活」ならぬ「婚活」を取り上げている。

旧来の誰しもが学校を卒業すればそこそこの職場を斡旋されて、そのうちの一つに行くことができる、その後も徐々に家計が豊かになっていくはずの社会・・・とは違って、誰しもが「就活」せねばならないように、旧来は社会のどこかで、そこそこ真面目に生活していれば、結婚できるようなシステムになっていた社会から、敢えて「婚活」しなければ結婚することにはならないような社会へと変わっているのだ、という切り口。

共著の白河氏は、少子化について考えている人らしいので、現状では結婚せずに出産と育児をすることはあまり一般的ではない以上、子どもの数を増やすには結婚が難なくできるようなシステムが必要なのではないか(または婚活をせねばなるまい)と提言。


少子化については、私は、生まれてくる子どもの数さえ増やせばいいとは思わないので、(多分、少子化を考える人も、子どもの増加を望むというより、将来の勤労者・納税者を増やすことを求めているような気がするので)一概に賛成したくはないし、子ども自体が大事なら、子どもを増やすと共にに子どもを育てる社会のキャパシティを広げなければならないのでは、と思ったりする。つまり、産めと言うなら育てろ、ということ。(もっと言えば子どもは登録制にして、育てたい人に順番に渡せば? とさえ思う、余談だけど)

この件についてはいいとして、結婚について。
独身率が上昇しているのは、社会の仕組みが、結婚に向かわせないからだということと、前世代の人たちが結婚率が高かったのも、実際は恋愛をしていた人が多いわけではなく、交際や結婚がしやすいようになっていただとか、そんなことを多面的に例を挙げながら述べているのだ。

恋愛の自由化によって、交際も限られた人ばかりするようになった、だとか、王子様願望が強いだとか、あれこれのバターンに分けられているのを読んでいると、「矢印に進めば分かる! あなたが結婚してないのはこのタイプだから! 」なんてチャートに示されそうで、自分も身近な知人も、あれこれ当てはまる人を思い浮かべてしまうのが、面白い。
まるで占いのような分類でいて、根拠のある選択性分類なので、結婚に対する意識無意識の自分の立ち位置が確認できる。

お勧め度☆☆☆
まるで、よく当たる占い本のように面白かった!
結婚を考えている人(したいとかいつかするとか、したくないとか)にはお勧め!
無関心な人でなければ楽しめるし、したいのに具体的な話にならない人には攻略本にもなりそう。

25 September 2008

医学のたまご 海堂尊著

医学のたまご (ミステリーYA!) (ミステリーYA!)医学のたまご (ミステリーYA!) (ミステリーYA!)
海堂尊

理論社 2008-01-17


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海堂尊がYA向けのシリーズから出した小説。元は「日経メディカル」の連載で、横書き。
もっとも、メールでのやりとりの文章がたびたび入ってくるので、横書きのほうが都合がいいのだろう。

ある日、平凡な中学生が、「全国潜在能力テスト」で、ついうっかり1位を取ってしまい、東城大学医学部に中学生ながら週2回通うことになる。
ただし、1位になってしまったのは、離れて暮らす父親が問題作成者だったため、実験台として類似問題を解いていたから。

どちらかというと、中学の授業でさえ着いて行きかねていた。得意なのは歴史。
数学も英語も苦手。大学に行く間、中学の授業や宿題を免れるならいいなあというくらいの単純な気持ちで医学部に通うことをOKしただけだった。
そんな僕が、急に世間に注目され記者会見までする羽目になった。


しかし、医学部に通うことになったのも、その後の研究や発表についても、
オトナ社会に巻き込まれ、自分の状況を思い知らされる。
が、最後に少しの勇気を出す、そんなところが、中学生が、一人の対等な立場の研究者として立てるという、成長物語でもあるだろう。

海堂尊お得意の、大学病院・大学・研究者社会内での政治と、行政のあいまいないい加減さへの指摘と、その中で知恵と勇気を持って、自分の立場を守りぬき、望みをかなえるための手段を獲得し、未来へ! 
困難は困難のまま残ると分かっているが、ゆくのだ!
という、ちょっと素敵なパターンを、この短い小説でも踏襲し、発揮している。

他の海堂小説での登場人物がチョイ役で出ているので、そこで再会できる楽しみもある。
そして、人物背景も、ここでは描かれていないが、「この人とこの人は実はこんな関係」ということも、他の小説を読んでいる人だけが知っている楽しさ。

内緒話を一つ暴露してしまうけれど、『ナイチンゲールの沈黙』で5歳だったアツシが、『医学のたまご』ではクールな高校生になっている。へえ、あの子が高校生になるとこうなるの。大きくなったわねえ、なんて、まるで、ご近所のおばさんみたいな感覚。

アツシ5歳。
ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
海堂尊

宝島社 2008-09-03


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あとがきより。たぶん著者の小説書きの動機。
ここで中高生の皆さんに、この物語に関連したメッセージを。
 将来、医師や看護師、あるいは医療の仕事に就きたいと考えている人たちへ。医療は病気を治すことが最終目的ですが、それだけで成り立つほど単純なものでもありません。病人を治せば医学研究なんてどうでもいいと考えるのは大きな間違い。研究という思考法を身につけないと、客観的な治療をうセンスを獲得することは難しいからです。研究は公正な心で行わなければならない。


お勧め度☆☆☆

ここまでに私は3作しか読んでいないが、他の作品にもきっと、たくさんの人物が出てきているはず、と思うと全部読破したくなった。読破といっても、まだ7、8作だけれど。

『医学のたまご』を読むならこれは必読。どちらを先でもいいけれど。
ジーン・ワルツジーン・ワルツ
海堂 尊

新潮社 2008-03


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24 September 2008

バスにのって 荒井良二作・絵

バスにのってバスにのって
荒井 良二

偕成社 1992-05


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ひろいひろい野原のまんなか。野原というより土ばかり。
アメリカ大陸のような、どこまでも土、空。ヤシの実のような植物に極彩色の鳥、
メキシカンのような帽子の人物。

そんななかにポツンとある停車場の、小さな屋根の下に、バックパッカーの青年が
ひとり。
バスを待っている。

バスを待って、バスを待って、バスをまって、、、
やってくるのは、トラックや馬や自転車に乗った人ばかり。
ラジオを聴いて、トントンパットン トンパットン 
まだ バスは きません

険しそうな風土なのに、のんびりおだやかな時間の経過を楽観しているような、バ
スを待っている人物に、だんだんこちら(絵本を読んでいる私)があせり出す。


(バスは来ないんじゃなかろうか バスに乗れるのだろうか こんなにのんきにし
ていていいの)

(あ、とうとう夜が来た 停車場で眠っちゃったよ、、、)




荒井良二は、『きょうというひ』『さるのせんせいとへびのかんごふさん』で注目
していた絵本作家さん。色使いの明るさと筆遣いの大胆さ(筆を使わないことも多
い)、それから言葉のたのしさに、わっと解放されるような面白さをいつも感じて
しまう。
たまたま原画展があったので、お散歩がてらに観に行ったのだ。
残念ながらワークショップの日には行けなかったが、原画が絵本の通りに並べら
れ、キャプションの代わりに絵本のコトバが横に貼られていた。
ので、コトバを追いかけながら絵本の順に絵を観ていけるのだった。

ただ、改めて絵本を見てみると、絵本の編集って苦心しているんだな、と分かる。
絵本のどこに文字を埋め込むのか、見開きの片面が絵でもう片面が文字、または絵
の中に文字を入れてしまう、絵だけのページ、絵を部分的に入れるetc...
それによって、読んでいるとき見ているときの印象が全く異なり、違う本にもなっ
てしまう。
色彩は、もちろん原画の方が繊細で良かったが、絵とコトバの組み合わせが「絵
本」の形になって始めて読めるものになるという、出版物ならではのよさを実感し
た。絵も、手元の絵本になったからこそ、身近に詳細まで気にして見られる面白さ
がある。特に荒井良二の場合、愉快さとでも言えばいいのか。



で、『バスにのって』のつづき。


荒野の真ん中でポツンと待つ人が、一日中待つなか、
バスではないものばかりがやってきて、とうとう夜になって、
そして、翌日。
とうとうバスが来たのですねえ。 ああよかった。
(とはならない展開に、ひたすら待っていた私は「ええっ! 」となる)
なんとバスは満員だったの。

バスは 砂けむりを あげて
いってしまいました


・・・この結末は、是非、絵本をご覧あれ。(やれやれ、が笑いを誘う)


お勧め度☆☆☆☆
評価するというより、個人的に好きなのかも。
私はこの会場の絵本では、これが一番でした。

荒井良二の、太陽の描き方が好きかなぁ(太陽は良く出てくるモチーフ)
この絵本でも、「あさに なりました」シーンがあるの。
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